パルシステム生協連 宅配強化で勝ち残り
関東周辺の9つの地域生協でつくるパルシステム生活協同組合連合会(東京・新宿)は宅配事業を強化する。事業規模が最も大きいパルシステム東京(同)が赤字の店舗事業からの撤退を決め、グループ全体でも路面店は数店を残すのみだ。参入が相次ぐネットスーパーなどとの競争を勝ち残るため、宅配時間の拡大などで事業高の回復をめざす。山本伸司理事長に今後の方針を聞いた。
ーーパスシステム東京が2013年度に最後の1店を閉める。
「店舗事業は各単協に任せているが、生協連としては店は持たず、宅配事業に経営資源を集中させる方針だ。パルシステムは生協最大手のコープみらいなどと比べると規模が小さい。勝ち残るには得意な事業で収益力高めることが必要だ。専門性を磨いて、組合員のニーズにより密着したサービスを提供する」
ーー具体策は?
「配送時間を広げる。パルシステム東京などで実験を始めたが、午後5〜8時の夜間配送は特に単身者の需要が大きく商機がある。前組合員に占める単身者の比率は約4%にとどまっているが、各生協で夜間配送に取り組むなどで利用増につなげる。加入手続きも夜間や土日にもできるようにして、新規加入を促す」
ーー総事業高は減少傾向が続いている。
「その流れは止めたい。新規加入の組合員の利用額が低いことが問題だ。組合数は増えているが、1人あたりの利用額は減っている。若い組合員は特に低価格志向が強い。ただパルシステムは産地直送の食材などを多く扱っており、スーパーの店やネット通販と価格では勝負しにくい」
ーー価格を追わないで、どうやって対抗するのか?
「利用歴に応じ、きめ細かな販促を考える。例えば今春は、5年以上の組合員を対象に利用頻度の高い商品を5%値引きするキャンペーンを実施した。恒常的な安売りは無理だが、こうした販促を続けることは検討したい。新しい組合員には産直食材の魅力が伝わり、つい注文したくなるような宅配用カタログやイベントに取り組む」
ーーインターネットの活用方法は?
「6月には組合員が食材やレシピについて自由に交流できるサイトも開設した。組合員同士の声を参考にしながら、同サイトで注文できるようにするなど利便性を高めていく」
ーー現在の事業規模で生き残れるのか。コープみらいのような合従連衝も必要ではないか。
「議論はしているが、現時点では9生協の合併などは考えていない。その前に業務や人事の仕組みを共通化するなど、やれることがたくさんある。11年に立ち上げたパルシステムサービスセンター(PSC)は1つのモデルだ。各生協で個別対応していた組合員からの問い合わせを一括で請け負い、要望に迅速に対応したり情報の共有がしやすくなったりした。今後は職員の交流を活発にし、各生協の長所を共有することにも努めたい」
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2013年7月26日 | コメント/トラックバック(0)|
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